急性の咽頭炎と扁桃炎
咽頭痛や嚥下痛、発熱や全身倦怠感、頭痛などの症状で発症します。通常「かぜ症候群」の一疾患として急性に起こりますが、体調を崩して免疫力が低下していたり、外部から持続的な刺激により、慢性に移行することもあります。
原因は?・・・「A型溶血性連鎖球菌」による感染に要注意
急性咽頭炎・扁桃炎の多くはウイルス感染が原因ですが、細菌が原因の場合もあります。
細菌のうち「A型溶血性連鎖球菌」による急性咽頭炎・扁桃炎では、学校や家庭などで集団発生をみることも多く、特に家庭内では兄弟間で高い感染率を示すことが知られています。
のどの構造(咽頭と扁桃)
治療のポイント・・・きちんと薬を飲むこと!
インフルエンザウイルスによる場合は、抗インフルエンザ薬を用いた治療をします。その他のウイルスによる場合は、症状を抑える対症療法を行います。
細菌感染が原因の場合は、抗菌薬で治療します。A群溶血性連鎖球菌による場合は、抗菌薬を使用すると、2〜3日目で熱が下がり、のどの赤みもとれ、症状はかなり回復してきます。一見治ったかのように思えますが、決められた期間きちんと抗菌薬を飲み、治しておかないと、治りにくい病気を引き起こすことがあります。医師から決められた期間、きちんと薬を飲むことが大切です。
習慣性扁桃炎と慢性扁桃炎
こどもに多い「習慣性扁桃炎」
急性扁桃炎を1年に4回以上、2年間に5〜6回以上繰り返す場合を「習慣性扁桃炎」といいます(「習慣性アンギーナ」と呼ばれることもあります)。小児期や青年期に起こりやすく、38〜39℃の高熱や嚥下痛、口内乾燥感などの症状があらわれます。小児期では、扁桃が大きく腫れることで呼吸困難や言語障害などを訴えることもあります。
成人に多い「慢性扁桃炎」
急性扁桃炎の症状が治りきらずに、口蓋扁桃に炎症が続く場合を「慢性扁桃炎」といいます。成人に多く見られます。
のどが渇いた感じやのどの違和感、灼熱感、軽度の嚥下時痛、刺激物がしみるなどの症状があります。また、微熱や疲労感などの自覚症状を伴うこともあります。
病巣器官に炎症を引き起こす「扁桃病巣疾患」
扁桃に慢性の炎症があると、これが引き金になって他の遠隔部位に疾患を引き起こすこともあります。
代表的な疾患として、掌蹠膿疱症(皮膚の病気)、胸肋鎖骨過形成症(骨が増殖して鎖骨が痛む病気)、lgA腎症などがあります。
咽頭炎・扁桃炎の治療と生活上の注意点
治療
習慣性扁桃炎と慢性扁桃炎の治療では、吸入や薬物湿布、のどの洗浄(うがい薬)などの局所療法が中心となります。
手術的治療(扁桃摘出術)が必要になることもあります。
医師と十分相談し、自分にあった治療法を選択しましょう。
生活上の注意点
偏った食生活、過労、睡眠不足などを避け、こまめなうがいと手洗いを習慣づけることが大切です。過度の飲酒や喫煙も避けましょう。
急性症状が治まっても油断は禁物!
薬の服用を途中でやめてしまうと再発して症状が悪化したり、重い病気を引き起こすこともあります。
薬は医師から決められた期間、きちんと服用しましょう。
アボット ジャパン発行 「しっかり治そう 咽頭炎と扁桃炎」より