音が聞こえるしくみ
音は耳の中の器官(蝸牛)で電気信号に変わり、それが脳へ伝わることではじめて音と感じることができます。つまり、耳は音を伝える伝達器官で、実際に音を聞いているのは脳だといえます。難聴とは、音の機能が低下することで、脳に伝わる電気信号が減少している状態です。
正常な聞こえの脳と、難聴の脳
正常な聞こえであれば、脳は耳から伝わる音の刺激で常に活性化されています。しかし、加齢による難聴の場合、耳の機能低下は少しずつ進化するため、自分では気づかないうちに、脳が音の刺激の少ない状態に慣れてしまっています。

難聴に慣れてしまった脳に補聴器をつけると・・・
音の刺激の少ない状態に慣れてしまった「難聴の脳」に、聞きとりに必要な音量の音を補聴器で伝えると、「うるさい」「余計な音」と感じてしまいます。そのため「難聴の脳」には補聴器の音に慣れるためのトレーニングが必要です。難聴の脳にはトレーニングが必要!
脳を変えるトレーニングとは?
「難聴の脳」を「聞きとりに十分な音量でも聞き続けられる脳」に変化させるには、補聴器ではじめは7割程度の音量(多少うるさいが効果が感じられる)を入れ、定期的な調整で徐々に音量を上げていきます。このトレーニングを3ヶ月程度続けられることで脳が変化していき、十分な音量でも補聴器を使い続けられるようになります。
トレーニングで大事なこと
朝起きてから寝るまでの間、常に補聴器をつけて音を聞きます。つけている時間が短いと脳が変化していきません。※補聴器は電子機器のため、入浴などの際ははずしてください。
3ヶ月程度続けられることで「難聴の脳」が変化して、補聴器を使い続けられるようになります。途中でやめてしまうと脳が変化していきません。
はじめは不快に感じますが、あなたの聞こえに合わせて調整された補聴器でしっかりトーレーニングを続ければ、何歳でも脳は確実に変化していきます。
補聴器と集音器の違い

新聞広告やテレビショッピングで「集音器」を見かけることがあります。ではこの「集音器」と「補聴器」は何が違うのでしょうか?
実はまったく別のものなんです!
補聴器は医療機器です。補聴器メーカーが厚生労働省に届け出て 薬事法(医薬品医療機器等法)で定められた管理医療機器として、効果や安全性の基準をクリアしたものが補聴器です。適切な販売の対面販売を基本としています。 一方、「集音器」(日本では助聴器と呼ぶ場合もあります)は医療機器としての管理や規制を受けていません。そのため、聞こえに関する効果や安全性が保証されていません。この点でまったく分類の違うものであることが分かります。
見た目から違いが分かりにくいために、国民生活センターから「集音器や助聴器は難聴者が補聴目的で使用するための商品ではない」という注意喚起がたびたび出されています。補聴器をご購入される前には、お店やホームページなどで医療機器認証番号(または医療機器承認番号)の表記があるかどうかをご確認いただくことをおすすめします。さらに国民生活センターは「補聴器は調整(フィッティング)が重要」であることも伝えています。ご紹介したトレーニングを行うには、お使いいただく方の聴力に細かく調整する必要があるため、集音器ではなく補聴器でなければなりません。
出典「聞こえと脳のトレーニング」リオン株式会社 より